こんにちは、mooです。
今回は、QSに関して、いろいろ調べ、研究、実験して、QS不動の謎に挑んだ男の記録です。
(036QSは、1997~2002に製造されたもので、本機は1995年製です)
(いきなり、謎データですが、まぁ、1998年までの前期型というのは確かです)
(まぁ、製造は、1995からという説もあります)
QSで、機構がまともに動いているのは、見たことがない
まずは、大爆笑させていただきました。
次に、OM(オーナーズマニュアル)より
QSは、右手がリアのハンドルから完全に離れた時にチェーンブレーキがかかる(デュアルブレーキ)。
(1.)慣性もしくは(ハンドガードでの)手動による動作と、(2.)リアのハンドルによる動作の、2つの違いから、動作にかかる時間が違う。
(1は、ゼロコンマ数秒でチェーンを止めるが、2は、約1秒でチェーンの回転を止める)(筆者注: 1,2には、止め方に、違いがあるようだ)
(1.は、ハンドガードを前に倒すか、キックバックによる慣性で動作し、手前に引くことで解除される)
(2.は、リアのハンドルのレバーとスロットル引き金から手を離すと動作し、レバーを倒すと解除される。これにより、チェーンが回転できるようになる)
(筆者注: つまり、1.は、普通のチェーンブレーキで、クラッチドラムをバンドで締め付けて、クラッチドラムが動かなくなることで、ソーチェーンが止まる。そして、ハンドガードを引っ張ることで解除できる。
しかし、2.は、リアのハンドルのレバーを離すと、チェーンブレーキが掛かり、握ると、解除できる(なぜ、止まるのかは、言及無し)。
ということは、1.と2.は、ブレーキの作動するきっかけが違うし、解除の仕方も違う。そして、一番の問題は、なぜ、止まるのか?が、違うのか同じなのか分からないことでしょうね。以上)
StihlUSAのHPより
Quickstopは、上記の1.で、Quickstop Plusが、上記の2.だそうです。
つまり、上記の2にあるように、 通常より大きい、throttle lockout lever(通常は、スロットルのロックを解除するだけ)をリリースすると、ブレーキがかかると言うことだそうです。(まぁ、ここら辺は、261に関するデュアルブレーキの話ですね)
(因みに、261のQに関しても、某掲示板では、「忘れください」とか言われていたなぁ)
034のサービスマニュアルより(034,036,036QS)
説明されている036QSのチェーンブレーキが、違う・・・
036QSのパーツリストと、実機が同じなので、サービスマニュアルのQSだけが、別で、なんなのか分かりません。
そもそも、パーツリストにない機構というのが意味不明なんですよねぇ・・・
まっ、なんであれ、サービスマニュアルは役に立たない訳で・・・
(後日注:パーツリストをよく見たら、1998年以降のQSシステムがSMのシステムと多分一致しているようです。なぜ見逃したのかというと、パーツリストで後期QSシステムを見ていたとき、前期QSシステムより大幅に簡素化されて、ハンドガードシステムの部分以外、ほぼ、非QS機と同じだったので、無意識に、非QS機だと判断していたようです。特に、クラッチやオイルポンプが非QS機と同じだったというのが大きくて、あっ、これは、QSじゃないやということにしてしまったようです。と言うことで、SMは、後期QSの説明をしていたと言うことでした)(とは言え、後期のシステムで、具体的に、どうやってQSを実現しているかは、不明のままです)
いじくった結果より
写真では、楕円形の部品が外れています(奥のプラスチックに嵌め、横のレバーと外周が接する)(正常な様子は、後の写真を見てください)。
クランクシャフトの楕円形のパーツが、スターターを引いて、シャフトを回転させると、同時に回転して、接触しているレバーが押され、レバーの反対側の先にあるフックが、もう一つの赤丸のところで、別のレバーの途中に引っかかって、そのレバーを押し上げ、チェーンブレーキが解除されます。
そのまま、一番上まで上がったところで、カチッとフックが外れます。
すると、また、チェーンブレーキがかかります。
これは、明らかに不良です(と、最初は思っていました。このように、後に誤りと判明する判断を繰り返し、考察が進んでいきますので、興味のない人は、後半の、「まとめ」に現時点での正解があるので、そこへと飛んでください)。
スターターを更に引いて、楕円形を回転させ、ハンドガールを引きながら、リアのレバーを操作すると、最初の状態に戻りますが、何度やっても、カチッと言って、フックが外れ、ブレーキがかかります。
何度もやると、外れるギリギリで止めることができました。
何となく、やりきった感がありましたが、リアのレバーを押した後、離すと、カチッと言って、外れて、ブレーキがかかります。
これ自体は、正しい動作ですが、次にリアのレバーを操作しても、チェーンブレーキは、かかったままです。
訳が判りません。
外れるのは、部品の摩耗による変形のせいだと考えても、その先の動作が判りません。
何度も、あれこれやっていると、リアのレバーを押しながら、スターターを引くと、別の部品が、押し上げるフックを挟み込みようにしているため、外れないことが分かりました。
(このとき、気がついたのですが、通常の機種のオイルポンプは、クラッチドラムの溝に引っかけた部品がぐるぐる回って、オイルを出すポンプの動力にしていますが、QSは、エンジンが稼働しているときは、楕円形がレバーをポンポン押すことで、別のレバーが上下運動をして、それがワイヤーで、オイルポンプに繋がって、ヘコヘコしていました。つまり、楕円形の動きが回り回って、オイルポンプの上下運動になっていると言うことです)
つまり、変形じゃなく、どこか、動作が間違っているのかもしれません。
ということは、フックの問題ではなく、フックを挟み込む部品の位置に問題があるのではないか?
何か、部品がないとか、変形しているとか?
パーツリストで、部品の欠落、変形がないか、チェックしました。
イラストなので、はっきりしない部分はありますが、QS関係は、全部欠落も変形もなしです。
う~~~ん、う~~~ん。
動かしながら、実物を眺め、寝る前にも、上にあるような自分で取った写真を眺め続けた結果、正しく動いているものを見なきゃ、無理!という結論になりました。
まぁ、ないだろうと思いながら、ユーチューブで、自慢げに止めたり動かしたりしているおじさんたちを眺め続けていたら、なんと、なんと、やっぱりありませんでした(羽鳥さん風に)。
せめて、静止画でもあればなぁと、画像検索かけたら...
拾い物
なんと、写真がありました。
私の機体の写真
さて問題です。
ネットの画像と、私が取った画像の違いは何でしょうか?
欠落、変形、組み立てミス...
どうでしょうか?
いえいえ、分かりませんって。
穴が空くほど見ましたが、全然分かりません。
ここで、また、別の切り口を探しましょう。
リアのハンドルのレバーを押しながら、引っ張ると、外れないと言うことは、少なくとも、何もしないで引っ張るときに、あるべき場所に、あるべきものがないと言うことで、レバーを押すと、あるべき場所に、あるべきものがあると言うことです。
つまり、もし、外れないことが正しい挙動ならば、レバーを押したときの位置に、自動的に来るべきものがこない理由を探す必要があるんじゃないか、と言うことです。
ハンドガードの付け根の下方にある部品。
この図の数字19から延びている線がこの部品に当たる辺りが、外れるのを抑える部分です。
そして、こいつの位置がずれているのが、諸悪の根源かもしれません。
ハンドガードを前に倒したとき、チェーンブレーキがかかるわけですが、実は、機構を見ると、ハンドガードを前に倒したときは、ハンドガードに付いているレバーは、バネを押しているだけで、特に何もしていません。
手を離すと、バネがハンドガードを戻しています。
つまり、何もしていないのに、本来ならば、チェーンブレーキがかかるわけです。
そこで、どういう事か?と考えながら、何度も動かしていたら、もしかしてということが思いつきました。
ハンドガードを前に倒したとき、ハンドガードの付け根のバネが、先ほどの19のレバーの突起を左回りに少し押すんですよね。
つまり、チェーンブレーキがかかるのは、19のレバーの動きによってかもしれません。
しかも、ほんの少しだけの動きということは、例のフックを外す(だけな)のではないか。
どうも、ハンドガードで、チェーンブレーキというと、カッチンと、何かをしっかり動かすイメージですが、QSは、いろいろ別物ですからね。
とは言え、ハンドガードを手前に倒したとき、ハンドガードがオフになるはずですが、そうならないのは、ハンドガードの付け根のレバーが、チェーンブレーキの梃子をあげ、チェーンブレーキをオフにしているのですが、それが止まらず、また、オンに戻ってしまっているのですが、これが、どう19のレバーと絡むのかは、まだ分かりません。
ですが、19の動きが固着によりスムーズでないことが大きな原因と言うことは考えられないでしょうかねぇ。
と言うことで、19に556を噴射してみたわけです。
噴射前に、動きを見ていたら、どちらかというと、19と他のパーツとの接触に問題がありそうだったので、そこの部分を中心に噴射しました。
するとなんと言うことでしょう。
まとめ (多分、解決)
クランクシャフトに楕円形の部品が付いているのが分かりますか?
QSの動きは、この楕円形の回転から始まります。
この楕円形の右にレバーがあります。
楕円形の回転で、このレバーが動きます。
先ほどの写真より、楕円形がちょっと回転して、右のレバーが少し押されています。
そのせいで、このレバーの反対側にあるフックが、別のレバーの途中にあるフックに引っかかって、押し上げていきます。
(それにつれて、チェーンブレーキが外れていくのですが、これはまた後で)
もっと回転していくと、先ほどのフックが外れています。
この状態では、楕円形と横のレバーはチョットだけ接触して、レバーがチョコチョコ動きますが、特になんの働きもしません。
もっと回転させましたが、横のレバーがチョットヘコヘコするだけです。
以上が、スターターを引っ張って、エンジンがかかるまでの動きです。
次に、エンジンがかかると、リアハンドルを握って、スロットルを引いて、自動的に、チョークが開きます。
リアハンドルのスロットルロックアウトレバー(押し下げるレバー)を押すと、先ほどの図の19のレバーが下がり、楕円形横のレバーが元の状態に戻ります。
この機体の問題は、この動きがスムーズでなく、途中で引っかかっていたのが、不動の原因でした。
よって、ここに556をプシューしたら(グリースの方が良かったのかな?問題が再発したら、グリースに変更します)、この状態になり、しかも、今度はエンジンが動いているので、楕円形は、回転しているわけですから、すぐに、楕円形に押されたレバーがフックを押し上げます。
すると、先ほどは、フックが外れたのですが、今度は、スロットルロックアウトレバーが押されているので、
フックが、19のレバーによって抑えられるので、外れないのです。
実は、この状態は、チェーンブレーキが解除されています。
つまり、エンジンが動いていて、且つ、スロットルロックアウトレバーが押されていると、チェーンブレーキは解除され、ソーチェーンは動きます。
そして、この状態で、ハンドガードを前に押すか、スロットルロックアウトレバーを離すと、
19による押さえが取れて、フックが外れ、チェーンブレーキがかかります。
これが、QSシステムですね。
通常、ハンドガードを前に押して、チェーンブレーキをかけますが、この機種は、ハンドガードを押す様なときには、チェーンブレーキがすでにかかっています。
慣性でチェーンブレーキがかかるときは、結局、スロットルロックアウトレバーをリリースするときと同じで、19のレバーを動かして、フックを外すわけです。
つまり、ハンドガードによる場合と、スロットルロックアウトレバーによる場合は、きっかけが違うだけで、機構的には同じです。
あえて言うならば、スロットルロックアウトレバーの動作に必要な時間と、その動作を伝えるワイヤーの弛み分の合計時間と、ハンドガードの動作に必要な時間の差くらいでしょうか?(OMで、ブレーキにかかる時間が違うみたいなことが書かれていましたが、ブレーキ自体は、同じなので、ほぼ差がないと言うことです)
ハンドガードに関してまとめると、
エンジンがかかっていて、スロットルロックアウトレバーを押したときだけ、ハンドガードの押し引きで、ロックのオンオフが出来ます(どっちにしろ、手応えはない)。
それ以外は、何をしても、ロックがかかったまま(やっぱり、手応えはない)。
こんな感じでしょうか?
非常に面白いシステムですが、部品も多く、複雑で繊細な動きが必要で、もっと言うと、無駄な動きや接触が多くて、消耗が比較的激しく、修理もしづらいし、不良の理由も分かりにくい。
分かりやすいメリットに対して、デメリットは後々分かる感じなので、最初は良いけど、すぐに売れなくなる商品じゃないでしょうかねぇ。
特に、ある程度目立てに慣れているような人ほど、ハンドガードをいちいち引っ張ってソーチェーンを移動させるのは不愉快かもしれませんね(研ぐときに、いちいちハンドガードを押して、ソーチェーンを固定させている人でも、動作が逆になるので、不愉快かも)。
実際、短命だったし、掲示板とかでは、ボロクソですからね(笑)。
あーあ、終わっちゃった(笑)