煙突ダンパーの向こう側
(一応、この記事から、読んでいただいても意味が分かるように、書きましたが、先日の煙突ダンパーの記事とそのコメント、それと、かわはらさんが書かれた記事とそのコメントに目を通していただいた方が、分かりやすいです)
先日の、煙突ダンパーの記事に、かわはらさんから、コメントをいただきました。
そこでのやり取りもあってか、煙突ダンパーに関して、かわはらさんも記事をアップされました。
私の記事と、かわはらさんのコメントと記事は、触媒機での煙突ダンパーの問題点に関して一致していると思います。
ただ、かわはらさんは、煙突ダンパーが有用である場合も指摘しています。
具体的には、煙突ダンパーの利点として、
「触媒機での煙突内のダンパーは、本体のバイパスダンパーを閉める前の初期焚きつけ時に、なるべく早く炉内を良い状況に持っていくために限定して使うべきだと思います。
炉内に熾き火がたっぷりできて、十分な高温になってからバイパスダンパーを閉めるわけですが、その前段階において、その状態を早めに作ることができると思います。」(私の記事へのコメント)
「バイパスダンパーを閉じる前段階は排煙が直接煙突に抜けていくので、ガンガン焚いても熱が炉内に閉じ込められずに煙突から逃げてしまって熾き火になる前に燃え尽きてしまう傾向があります。
適切なタイミングで、バイパスダンパーを閉じる前段階で、煙突ダンパーを調整してやることで、少しでも早く炉内を良い状態に持っていくことができるようになります。」(私の記事へのコメント)
「初期焚きつけの後、ガンガン追加薪を投入して熾き火をたくさん作っている段階でバイパスダンパーをまだ閉じていない時には、適切に煙突ダンパーを調整することによって炉内に熱を溜め込んで熾き火を早く作る効果が期待できる。」(かわはらさんの記事)
ほとんど、同じことをいっていると思うので、要約させていただくと、
「バイパスダンパーを閉じる前段階の適当なタイミングで、煙突ダンパーを調整してやることにより、煙突に逃げていた熱を溜め込み、少しでも早く炉内を良い状態、つまり、熾火たっぷりの状態に持っていくことができるようになる」
ことを指摘しています。
(要約による問題は、すべて私の責です)
で、これがどうしても納得できませんでした。
(しかも、どこが納得できないかが判るまでに時間がかかるというおバカさんぶりです)
要は、「煙突に逃げていた熱を溜め込み」の部分です。
単純に、煙突ダンパーを閉めれば、熱が閉じ込められるのかという疑問もありますが、そこではなく、熱を閉じ込めていいのだろうか?ということです。
たぶん、かわはらさんは????でしょうね。
ストーブと薪を暖めるためには大量の熱量を必要とします。
特に、初期は、ストーブも薪も冷えきっていますから、熱量はあるだけ欲しいところです。しかし、この時は、燃焼が始まったばかりですから、煙突から逃げる熱量も惜しいところではあっても、それ以上に、ドラフトによる酸素の供給が重要だと思います。
(かわはらさんの記事の引用にある「初期焚き付け時」のことで、かわはらさんも、このときは除外しているようです)
次に、ある程度燃焼が安定してくると、薪が大量の熱量を放出させ始めます。次第に、薪もストーブも温度が上がり始めます。
このとき、炉内の温度は、燃焼が安定的に起こっているのですから、すでにある程度高温になっているのに対し、蓄熱性の高いストーブは温度の上がりがかなり遅い(2次燃焼室となれば、さらに絶望的に遅い)。
そこで、例えばCB機使い人たちは、こう考えるはずです。
もっと、熱が欲しい!
もっと、熱量を発生させ、かつ、発生した熱量をすべて、炉内、そして、ストーブの温度を上げるのに使いたいと。
そうすれば、もっと早く炉内を良い状態にできるだろう。
しかし、触媒使いは、こう考えるはずです。
(自分が、全触媒使いの代表のつもりはありませんが、触媒を理解したら、論理的にそうなるだろうことを書いているつもりです)
(間違いの指摘は大歓迎)
「炉内の温度が(この後)過度に高くなりそうだから、空気を絞ろう」
高温に弱い触媒を僕(しもべ)にしている触媒使いは、炉内の温度を上げすぎないためなら、まだ、暖まっていないのにも関わらず、空気を絞って、燃焼を押さえることに躊躇することはない。
空気を絞ったからといってすぐに温度が下がるわけではないので、高温になる前に燃焼を押さえなくてはならない。
その結果、2次燃焼開始まで、時間が掛かることになっても、気にしない。
例え、煙突ダンパーで、熱を閉じ込めることが出来るとしても、触媒使いなら、炉内の温度をさらに高める必要性を、特には感じない。
どっちかというと、温度が上がりすぎないように、どんどん煙突から逃げてくれってな感じです。
(まぁ、煙突から大量に逃がすのは、燃費が悪くなるので、単に、燃焼を抑えるでしょうけど)
触媒使いの言っていることは、分かりにくいですか?
触媒機とCB機の違いを説明したら、分かりやすくなるかもしれません。
例え話を出してみましょう(例え話好きなもので・・・)
高回転型のエンジンってのがあります。
ある程度回してやったほうが、おいしいエンジンです。
低回転型のエンジンってのがあります。
あまり回さない状態が、おいしいエンジンです。
もう、分かる人は分かると思いますが、
CB機が高回転型で、触媒機が低回転型。
回転は、温度を指しています。
CB機は、2次燃焼の温度が、触媒機の2倍以上必要だとされています。
つまり、高温を保たなければ、おいしくないわけです。
この場合、おいしいとは、2次燃焼のことです。
おいしく使い続けようと思えば、こまめに薪を追加し続け、燃費は悪くなります。
さらに、温度が下がれば、2次燃焼は早めに消え、排気が汚れます。
もちろん、高回転型ですので、高回転でも壊れにくいです。
高温で、2次燃焼だから、暖房能力は、圧倒的。
2次燃焼が見えるって、最高!!
余計な触媒ってやつもないですから、シンプルで、メンテしやすい。
シンプルは、壊れにくい。
男ってやつは、大食らいでも、タフで、ガンガン行くが一番、ごちゃごちゃめんどくせー、女の腐ったのは、ごめんだぜーっ、的な。
(なのに、わざわざ、めんどくせー的な装置を追加して、飯の量を減らそうとしたりして・・・)
一方、触媒機は、触媒が高温に弱いが、2次燃焼がかなり低い温度でも起こる。つまり、低めの温度を利用しなければ、おいしくないわけです。
つまり、おいしく使うためには、全般的に、温度を低めに焚く必要があります。
温度は低めで、ゆっくり長く、暖かい。
ということは、暖房能力は、高温でブン回せるCB機に劣ることになる。
さらに、焚き付け時、追加薪投入時に、バイパスダンパーを閉めるまで温度管理が面倒(炉内の温度を上げずに、ストーブや薪の温度を上げる)。
触媒が消耗品で、定期的にお金がかかる。
2次燃焼室も触媒のもらい事故あり。
もちろん、長く暖かいと言うのは、いくつもよい点があります。
放っといても、燃費がいい。
放っといても、暖かいまま(バイパスダンパーを閉めてからは、手がかからない)。
放っといても、排気がキレイ(ご近所さん、いつもすみません)。
つまり、暖房能力・メンテ・薪以外の維持費・焚き付けor薪追加時の手間・炎は、CB機の方がいい。
燃費・排気・巡航時の手間は、触媒機の方がいい。
実際のところ、燃費や煙を気にしている人が多いと思うのです。
燃費や煙を気にして、ストーブを使うなら、CB機の方が圧倒的に難しいのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
話が少しずれました。
話を戻します。
触媒機使いなら、毎日何度か、炉内の温度を上げずに、ストーブと薪の温度を上げる作業をします。
炉内の温度を上げすぎないようにして、ストーブと薪の温度を上げる。
そうなると、もう、時間をかけるしかないのです。
さらに、一旦、バイパスダンパーを閉じてしまえば、あとは、しばらく、放っておきます。寒くなったら、薪を投入し、さっきの作業を繰り返します。
なにか、伝わらないでしょうか?
このゆったりしたリズム。
これさえ、感じてもらえれば、先ほどの話は分かって貰えると思います。
そうです、だから、
「高温に弱い触媒を僕(しもべ)にしている触媒使いは、炉内の温度を上げすぎないためなら、まだ、暖まっていないのにも関わらず、空気を絞って、燃焼を押さえることに躊躇することはない。
その結果、2次燃焼開始まで、時間が掛かることになっても、気にしない。」
ということになるのです。
私達は、みな、同じ土俵の中にいる。
この機種も、あの機種も同じであり、同じではない。
生産国やメーカーや機種毎に、同じであり、同じではない。
自分の価値基準で、相手を断罪することは、無意味な対立を生むだけ。
無知や思い込み、想像力の欠如で、無駄な感情に、人を振り回しても、人から振り回されてもしょうがないでしょう。
同じであり、同じではない。
同じであることを大切にし、同じではないことを互いに尊重する。
そう、思ってもらえないでしょうか?
ちなみに、マイナーで、厳しい環境にあるグループほど、内部対立は過酷になりやすいそうです。
(引用を許可してくださった、かわはらさま、ありがとうございます)